併用する実質的

同様に、絶対的公信主義の併用する実質的審査主義を民法がとっていないことは、 相対的公信主義採用を妨げる理由にはならない。 博士のこの相対的公信主義の提唱は、「公示主義より公信主義、即ち静的安全より動的安全 に進みゆく推移は理論上漸進主義を可と」するという情況認識に支えられたものであったが、 その後、昭和三○年代に入って、九四条二項類推法理として出現した判例理論もまた、公信力 の相対的付与への「漸進主義」の歩みと見ることができる。近時、この判例理論に対して、一 七七条の第三者の範囲に関する「制限説」のいわゆる「正当性」の考慮を導入した無制限説の 復活という評価を与えて、一七七条の第三者の範囲に関して博士の「無制限説」とこの相対公 信主義との関連性を指摘し、かつ正当な権利取得の保護という点で九四条二項類推論と相対的 公信主義とが営む実質的に等しい機能を指摘するもののあることは、注目に値する学説再評価 の動きということができよう。